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継承の舞 多彩に 山川昭子 7年ぶり独演会 国立劇場


継承の舞 多彩に 山川昭子 7年ぶり独演会 国立劇場 「花風」を舞う山川昭子=11月11日、浦添市の国立劇場おきなわ
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 玉城流扇寿会師範である山川昭子の第2回独演会「舞~時代(とき)を嬰(かけ)る」が11月11日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。拠点とする名古屋に続き、7年ぶりとなる独演会。伯母である谷田嘉子、母である金城美枝子両家元の踊りを受け継ぐ舞を多彩な表情で披露した。
 「作田節」で爽やかに幕開け。2曲目の「早作田節」では、涼やかな風が吹き込むような舞を見せた。続く「かせかけ」は、いとしい人への思いをしっとりとした踊りで表現した。
 古典女踊の最高傑作ともされる「諸屯」は、恋い焦がれる女性の思いを抑制的な舞で表現する作品。愛する人と枕を並べた夢から覚めた様子を目や顔の動きのみで表す「三角目付」では、あふれ出る切なさを最小限の動きのみで見事に表現した。
 第2部は谷田嘉子、金城美枝子両家元の代表作である「す玉貫玉(ぬちだま)」で始まった。しし玉を糸に貫いて飾りを作ったという習慣をヒントに、男女がプレゼントをし合う打組舞踊に仕立てた。山川は金城真次と2人で、貫玉を持ったり互いに渡したりと、巧みに展開する振り付けを息のあった踊りで披露した。「花風」は、傘から垣間見える表情や所作に切なさとつややかさが宿っていた。谷田、金城両家元振り付けの創作舞踊「真津(まちゃ)がま」は、宮古平安名に実在した美女の名前。真津がまに思いを寄せる2人の男の踊りを、大城直江と共に軽快にユーモラスに舞った。両家元が振り付けした「木綿花」も披露した。
 古典から創作まで幅広く披露したが、曲間に地謡が演奏したり、くらしき作陽大学客員教授の田中英機氏の解説を挟んだりと、踊りの余韻をつないだ舞台構成も観客を作品の深い部分まで導いた。 (田吹遥子)