<金口木舌>「健幸」な老後を迎えるために


<金口木舌>「健幸」な老後を迎えるために
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グリム童話にある「寿命」という物語。人間はロバと犬と猿が授かるはずだった寿命をもらい受けた。そして年を重ねるとロバのように重荷を背負い、老いた犬のようになり、猿のように人に笑われる

▼何でも手に入れたがる、欲深い人間への戒めか。それとも老いへの恐れなのか。作者は物語で何を伝えたかったのだろう。作中で人間に与えられた寿命は70年だった
▼今や人生100年時代と言われ、日本の平均寿命は男女共に80歳を超える。「寿命」の物語が生まれた時代より長生きになった。高齢になっても生き生きと暮らしたいと誰もが考える
▼北中城村で先月6日に「健幸長寿の村きたなかぐすく村民大会」が開かれた。村民が「健康」で「幸せ」に暮らせる地域を目指すという。体が元気であることに加えて、幸福感を抱くことも欠かせない要素だ
▼正しい生活習慣を維持し、社会との結びつきを強めれば「健幸」に近づけるはずだ。童話にある老後は過去のこと。長寿の時代、体も心も健やかなら年を重ねても楽しく過ごせる。