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震災アーカイブ、存続岐路/人材や維持費課題


震災アーカイブ、存続岐路/人材や維持費課題 震災アーカイブの状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東日本大震災に関する各地の写真や動画をインターネット上で保存、公開する「デジタルアーカイブ」について、主に自治体が運営する15団体のうち4団体が、既に公開をやめたり、閉鎖を予定していたりすることが2日、共同通信の調査で分かった。
 公開を継続する11団体のうち7団体も「存続に不安を感じる」と回答。震災から12年半以上が経過し、運用を担う人材や維持費の確保が課題となっている。
 2011年3月の震災は、災害アーカイブが広がった契機と言われる。熊本地震など以降の災害でも構築され、岩手県宮古市では今年新設。地域に根ざした活用が進む。専門家は閉鎖や停止の要因について、国の補助金が多かった時期に大規模なものを作り、維持費がかさんだと分析する。
 茨城県は、維持費が年間約400万円かかり、国の補助金も減額されたとして昨年3月に閉鎖。青森県八戸市と岩手県久慈市(いずれも周辺自治体との共同運営)はシステムの更新費の負担が大きいとして、21年に公開を停止した。宮城県気仙沼市は来年3月に閉鎖予定だ。
 閉鎖されたサイトのデータの一部は国立国会図書館が運営するポータルサイトに引き継がれるものの、詳細な検索や活用は難しくなる。
 「存続に不安を感じる」と回答した岩手県大槌町など7団体に理由(複数回答)を尋ねると、6団体が「人材不足」、5団体が「維持管理費の負担」とした。利活用(複数回答)については「メディアなどへのデータの提供」が12団体で最も多く、「小中高校などの防災教育での活用」が続いた。
 調査は9~10月に実施。東北大がまとめた自治体などによる震災アーカイブを対象とした。青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県16団体のうち、千葉県浦安市を除く15団体から回答を得た。