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核抑止論否定、廃絶決意/核禁会議閉幕 政治宣言採択


核抑止論否定、廃絶決意/核禁会議閉幕 政治宣言採択 1日、米ニューヨークの国連本部で開かれた核兵器禁止条約の第2回締約国会議の閉幕会合
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 【ニューヨーク共同=稲葉俊之】ニューヨークの国連本部で開かれた核兵器禁止条約の第2回締約国会議は1日、「人類の存亡に関わる核兵器の脅威に対処し、禁止と廃絶に取り組む」との決意を新たに示す政治宣言を採択して閉幕した。ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザでの戦闘で国際情勢の緊張が高まる中、核リスクに危機感を表明し、核廃絶は急務だと強調。核の威嚇に基づく抑止論の正当性を否定し脱却を求めた。

 同会議は、核兵器や核実験の被害者らを支援する国際基金設立の実現可能性を作業部会で集中的に議論することも決めた。第3回締約国会議は2025年3月3~7日に国連本部で開催する。
 宣言は、被爆者や非政府組織(NGO)など幅広い関係者の「積極的な関与」に謝意を示した。米英仏中ロの核保有五大国が軍事ドクトリンなどで核兵器に重点を置き、質・量ともに増強している現状について「(核拡散防止条約が規定する)軍縮交渉義務を果たしていない」と批判した。
 「核共有」を巡り、検討段階の宣言案では「維持、追求に反対する」と明記していたが、最終的には直接の言及を避け、「非核保有国の領土への核配備」を憂慮するとの表現にとどめた。オブザーバー参加した北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツとベルギー、ノルウェーに配慮したとみられる。
 宣言は「人類が核による破滅に近づく兆候を見せている危険な局面で、われわれは傍観しているわけにはいかない」とし、核が二度と使われないことを保証する唯一の手段は廃絶だと訴えた。
 核抑止論への固執が「核軍縮の進展を阻害している」とも指摘。核による威嚇は「軍縮・不拡散体制と国際平和、安全を揺るがす」と非難した。
 デラフエンテ議長(メキシコ)は「核禁止条約は核廃絶を目指す上で、最適の多国間枠組みだ」と成果を強調した。会議は11月27日から5日間開かれ、議長によると締約国の59カ国・地域、オブザーバーの35カ国が参加した。
 核保有五大国は不参加、米国の「核の傘」に頼る日本も欠席した。