有料

75歳医療費、原則2割案/政府 少子化対策の財源充当


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府内で、月内に策定する社会保障の改革工程表を巡り、75歳以上の人が医療機関で支払う窓口負担の原則2割への引き上げを検討すると盛り込む案があることが分かった。児童手当の拡充など少子化対策の財源に充てたい考え。複数の関係者が2日、明らかにした。現在は多くの人が窓口負担1割のため、負担増となる政策が岸田政権に打撃となる可能性があり、調整は難航しそうだ。
 政権が掲げる少子化対策は年間3兆円台半ばの追加財源が必要となる。政府は、このうち1兆円超を医療など社会保障の歳出改革で捻出する方針。工程表には2028年度までに取り組むメニューをまとめる。
 75歳以上の後期高齢者の医療費は、全体の40%弱を占める。財源には窓口負担や公費のほか、現役世代の保険料などを充当。75歳以上の窓口負担は現在、一定以上の所得がある人は2~3割で、残りの約70%は1割負担だ。原則2割にすると自己負担が増える一方、公費と保険料は抑えられる。高齢化で膨らむ医療費を抑制し、浮いた公費を少子化対策の財源に回したい考えだ。窓口負担2割案に対し、高齢者が医療機関の受診を控え、体調を悪化させるとの懸念もあり、与党の反発も予想される。
 他に、特許が切れて安価なジェネリック医薬品(後発薬)がある先発薬について、窓口負担を増やすと盛り込む方針。後発薬の使用を促して医療費を抑制する狙いがある。