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ガザ南部侵攻へ準備か イスラエル空爆、30人死亡


ガザ南部侵攻へ準備か イスラエル空爆、30人死亡 イスラエル軍の空爆を受けた現場で生存者を探す人々=3日、ガザ地区南部ラファ(AP=共同)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【エルサレム共同=橋本新治、平野雄吾】イスラエル軍は3日、パレスチナ自治区ガザで攻撃を強化し、中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると3日朝の空爆で、ガザ南部のハンユニスとラファで30人以上が死亡した。既にガザ北部を掌握した地上部隊が南部に侵攻を拡大する準備を進めているもようだ。
 イスラエルのネタニヤフ首相は2日の記者会見で「地上作戦なしに目標を達成できない」と語り、イスラム組織ハマスの掃討に向け地上作戦を強化する方針を強調した。
 イスラエル軍は3日、戦闘機や地上部隊、無人機などでハマスの武器貯蔵施設や地下トンネルを破壊したと表明。10月以降、破壊した地下トンネルは500カ所に上るとしている。
 ガザ保健当局によると、北部ジャバリヤの難民キャンプで戦闘が再開した1日から2日までに100人以上が死亡。中部デールバラハの難民キャンプでも大きな被害があった。
 軍はガザ住民向けに避難用地図を作成。国連によると、ガザ全体の25%が避難対象に指定された。また、軍はハンユニスの住民に他地域への避難を促すビラをまいた。住民からは「どこに避難すればいいのか」と困惑の声が上がる。
 ハリス米副大統領は2日、記者団を前に「あまりにも多くの罪のないパレスチナ人が殺されている」と懸念を表明。オースティン国防長官は、イスラエルにはガザの民間人保護に「道義的責任」があると強調した。
 アルジャジーラは医療関係者の話として、1~2日のイスラエル軍の攻撃によりハンユニスで29人が死亡したと伝えた。
 戦闘休止と人質解放の再合意は困難な状況に陥った。イスラエルのガラント国防相は2日、ハマスが合意に反して人質の女性15人と子ども2人の解放を拒否したため、戦闘を再開したと強調。ハマス幹部はアルジャジーラに対し、戦闘が終結するまで人質解放交渉は行われないと語った。