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「骨切り」手術増加傾向/膝の痛み解消、新たな選択肢に


「骨切り」手術増加傾向/膝の痛み解消、新たな選択肢に 金属プレートで固定した骨の模型で手術内容を説明する島川朋享医師=11月10日、浦添市の同仁病院
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 O脚やX脚などの変形性膝関節症で生じる痛みを改善するため、関節を温存する「骨切り術」件数が増えている。骨を固定する金属プレートが約10年前に改良されたことで患者の負担が減り、リハビリ後は運動制限なく暮らせる。同仁病院の整形外科医、島川朋享医師は「人生百年時代。膝の痛みに悩む方は我慢せず、自分らしく生きる選択肢として治療を考えてほしい」と呼びかける。
 海外でスポーツ整形外科を学んだ島川医師。現職に就いて以降、手術件数は2021年38件、22年85件の実績があり、23年は110件を予定している。
 同院では初診以降、股関節から下のレントゲンでO脚やX脚の症状や膝軟骨の状態を確認するとともに、患者の生活史の聞き取りを特徴としている。術後もスポーツや仕事を続ける希望がある場合は骨切り術を施すという。関節を金属に置き換える人工関節置換術も選択肢としてあるが耐用年数があり、基本的には65歳以上に勧めている。
 同院で骨切り術を受けた患者は30~70代。入院やリハビリが必要になるが治療を機に減量や禁煙が継続するなど、生活習慣を見直す人も少なくない。運動制限もないため手術を受けるプロスポーツ選手もいるという。
 島川医師は、働き盛り世代で膝の痛みに悩まされたままだと、運動量の低下による肥満や生活習慣病などにつながる「負のスパイラル」が起きやすいとして、「健康寿命を延ばすためにも、膝の痛みで悩んでいる方は相談してほしい」と述べた。 (嘉陽拓也)