<金口木舌>名護に息づくダンス文化


<金口木舌>名護に息づくダンス文化
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 着飾った多くの市民が華麗なステップを踏む。11月22日に開かれた名護市商工会女性部のチャリティーダンスパーティーの熱量に圧倒された

▼コロナ禍を経て4年ぶりのパーティーは1976年から始まり、今年で44回目。マンボにルンバ、クイック。バンドの生演奏に合わせ、ジャンルは次々と移り変わった
▼復帰前から名護はダンスが盛んだった。「月世界」や「美都」「チャレンジャー」。数々のダンスホールやディスコが夜の街を彩った。ブームを牽引(けんいん)したのが世冨慶出身の比嘉吉保さん(75)だ
▼24歳で病院勤務を辞め、ダンスホールやスナックを経営した。「休みなく店を開け、毎日、革靴が鉄げたのように、硬くなっていたよ」と懐かしむ。100人以上が訪れる日もあり、多くの人々がダンスに親しみ、ステップを覚えた
▼現在はみどり街で沖縄そば店・赤犬子を営む「そば屋のおやじ」(比嘉さん)。ダンスに親しむ場は減り、街は少し寂しくなった。それでも比嘉さんが興したダンス文化は市民の心にしっかりと息づいている。