政府は5日、経済財政諮問会議を開き、少子化対策の財源確保策として、社会保障分野で検討する歳出改革の工程表案をまとめた。医療費の窓口負担が3割となる高齢者の範囲拡大を2028年度までに検討するなど国民の負担増につながる内容を盛り込んだ。金融資産を考慮した支払い能力の判定も課題とした。捻出できる金額の記載はなく、改革が予定通りに進むかどうかは不透明だ。
会議に出席した岸田文雄首相は、医療介護分野でデジタル化を進め「国民一人一人へ最適なサービスを提供し、歳出効率化や生産性向上を実現する」と述べた。
岸田政権が掲げる「次元の異なる少子化対策」では年3兆円台半ばの追加財源が必要となる。このうち1兆円超を社会保障の歳出改革で捻出し、社会保険料に上乗せする「支援金制度」で1兆円程度を賄う方針だ。
工程表では年齢を問わず支払い能力に応じて支え合う「全世代型社会保障」の構築に向け、制度改革の実施時期を(1)24年度(2)少子化対策の安定財源を確保する28年度まで(3)高齢者数がピークとなる40年ごろまで―の3段階に分けて記載した。
24年度の改革として、介護サービス利用料の自己負担2割の対象者を拡大するかどうかについて23年中に結論を出す。
28年度までの改革では高齢者の医療費や介護サービスの利用料に関し、現役並みの所得があり自己負担を3割とする人の対象範囲の拡大を議論する。
医療費が高額になった場合の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」は月額上限の引き上げを検討する。介護サービスの利用時に作成する「ケアプラン」(介護計画)を有料化するかどうかを26年度中に判断する。
40年ごろに向けた改革には、フリーランスらの厚生年金や雇用保険への加入を挙げた。
政府内には当初、75歳以上の医療費の窓口負担に関し、原則2割への引き上げ検討を盛り込む案があったが、負担増への反発に配慮し見送った。
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高齢者3割負担対象拡大 少子化財源案 支払い能力判定に課題
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琉球新報朝刊
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