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自分の価値を認められるように AA(アルコホーリクス・アノニマス) E<心の扉を開いたら 患者会・福祉団体便り>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 酒の飲み方がひどくなったのは離婚後に海外で仕事をするようになってから。欧州での初仕事の時、緊張でランチの時にワインをかなり飲んだことを覚えている。共に仕事した外国人が予想外に私の仕事ぶりを高評価してくれたので、その後、仕事の緊張を酒で紛らわせるようになった。

 自分では気付かなかったが飲む量や回数が増え、仕事中にも頻繁に飲むようになり、業務にも悪影響が出るようになっていった。振り返ると、日本を離れ、ひとりで仕事するのは心細かったと思う。

 しかし、当時はそんな気持ちを感じることはなかった。なぜならば、現地の男性にのめり込んでいたからだ。若かったこともあり、異国の地でとてもモテた。彼らのまっすぐな愛情表現に自尊心をくすぐられた。本当に欲したものは私を褒めてくれる人だったのではないかと思う。男性からの熱烈な対応には戸惑ったが、女冥利(みょうり)に尽きると思い次第にごう慢な女に変わっていった。

 一方、誘ってくる下心丸見えの外国人男性を見下していたし、奥手な日本人男性を小ばかにしていた。最初はデートでの楽しい酒だったが、次第に酒と男性の甘い言葉に依存していった。だんだん、まともな恋愛関係を結べなくなっていった。さらに、人に対して感謝や愛などの気持ちが消えうせていた。こんな生活が数年続き身心共に病んだ。外見が汚くなった顔を見るたびに死のうかと何度も考えた。私が酒を飲み続けた理由は、飲酒すれば何でもできそうな万能感を味わえることと、無価値感を忘れることができるためだった。

 紆余(うよ)曲折(きょくせつ)を経て再婚したが、夫も酒の問題を抱えていた。夫が先にAAにつながったおかげで私もつながった。酒を止めても自分の生き方を見直さない限り、夫婦関係だけでなくさまざまな対人問題が出てきた。

 現在、AAを通して人間関係を学んでいる。人の評価ではなく自分で自分の価値を認められるようになってきた。AAにつながって4年、離婚の危機を乗り越え、夫婦関係がちょっとずつ良くなり、夫婦で断酒生活を楽しんでいる。AAで出会ったすてきな仲間に憧れて、私もおばあさんになるまでAAで活動を続けるつもりだ。