真新しい一戸建ての家。玄関を開けると鮮やかなピアノの音色が聞こえてくる。廊下を進むと、ピアノを囲んで歌を口ずさんでいる。うるま市川崎にある生活介護事業所「ちゃれんじどスクール」の岩永恵さん(47)=同市=は、同じ立場の人同士で悩みや気持ちを共有するピアカウンセラーとして勤務する。「完璧でなくてもいい」。岩永さんのモットーだ。
同事業所を運営するのは「ちゃれんじど沖縄」。22年11月に姉の近藤美香さんが設立した。現在、知的・身体障がいがある10人が通所し、生活機能の維持に必要な訓練をしている。発声が難しい人に対しては、音楽療法としてピアノの音に合わせた発声練習をしている。
岩永さんは先天性の骨形成不全症で車いすの生活を送る。ピアサポーターとして勤務することになったのは、近藤さんの娘で、めいにあたる愛主(あいしゅ)さんの存在だった。音楽が好きだという愛主さんは、重度の知的障がいがあり、学校以外で得意分野を伸ばす機会や場所が少ないことに気付いた。「得意なもので社会とつながる何かを見いだしたかった」。めいっ子と自身の経験を重ね合わせ、約6年間務めたテレワーク企業を退職し、同事業所の設立に関わった。
「『トイレができた。ご飯が1人で食べられるようになった』と通所者が喜ぶ姿に感動します」とピアノの音を聞きながらほほ笑んだ。岩永さんが抱いていた「重苦しい」という障がいへのイメージは前向きに変わったという。
「障がいがあるからあきらめるのではなく、やりたいことを一緒に達成したい。完璧でなくてもいい」。岩永さんは多くの人の背中を押す。 (渡真利優人)
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生活介護事業所 ちゃれんじどスクール 岩永 恵さん 「完璧でなくていい」
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琉球新報朝刊
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