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視覚障がい者 簡単読み取り 専用QR、広報誌に導入 山形県上山市 市サイトへアクセス支援


視覚障がい者 簡単読み取り 専用QR、広報誌に導入 山形県上山市 市サイトへアクセス支援 山形県上山市の広報誌に掲載された視覚障害者用アプリのQRコードをスマートフォンで読み取る木村清さん=9月
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 山形県上山市は、視覚障害のある人が簡単に市のホームページ(HP)にアクセスできるよう、広報誌に視覚障害者用アプリのQRコードを掲載した。スマートフォンのカメラをかざすとコードを読み取り、情報を音声で読み上げてくれる。QRコードにピントを合わせる必要がなく、離れた場所や斜めの位置からでも読み取れるのが特徴で、視覚障害者から「非常に便利」と好評だ。
 視覚障害者の歩行支援システムとしてスペインで開発された「ナビレンス」のアプリと専用QRコードで、スペイン国内やニューヨークの地下鉄などで使われるほか、神戸市営地下鉄の一部の駅で導入されている。
 上山市によると、自治体広報誌にナビレンスの専用QRコードを掲載するのは全国で初めて。
 最大の利点は読み取りやすさだ。QRコードの場所が正確に分からなくても、周辺にかざすだけで、存在を音声で知らせてくれる。HPを開くと通知音が鳴る。
 きっかけは、上山市在住の視覚障害者、木村清さん(76)の提案だった。情報ツールとしてさまざまな場面で普及したQRコードだが「視覚障害者にとっては正確な位置を探すのが難しい」(木村さん)と不便さを感じていた。
 4月、通常のQRコードと一体化した新しいナビレンス専用QRコードが開発されたことを知り、市に持ちかけた。市は、反応精度が高く、読み取りに特別な機器が必要ないことから採用を決定。毎月発行する広報誌「市報かみのやま」8月号から掲載を始めている。
 視覚障害者向けの情報発信に取り組むNPO法人輝色(山形県山辺町)の多田祐也理事長は「正確に読み取れる点はとても便利だ。導入が広がってほしい」と期待を込めて話した。