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内閣の要を直撃 国会で集中砲火 「ゼロ回答」不信を増幅 松野氏側1000万円還流


内閣の要を直撃 国会で集中砲火 「ゼロ回答」不信を増幅 松野氏側1000万円還流 松野官房長官の主な発言(似顔 本間康司)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「パーティー券の販売ノルマを超えた分を自分のところで抱えていたケースはあったのか」。8日午前、衆院第1委員室。立憲民主党の枝野幸男氏は衆院予算委員会集中審議で松野氏に迫った。
 松野氏は「派閥の政治資金について刑事告発され、捜査が行われている。私の政治団体についても精査して適切に対応したい」と判で押したような同じ答弁を繰り返した。
 午後の参院予算委では、立民の蓮舫氏が岸田文雄首相と対峙(たいじ)。防衛増税に触れ「松野氏は足元のカネの説明もできない。それなのに国民に負担を押し付けることはできない」と更迭を求めた。
 首相は「国民の信頼が揺らいでおり深刻に受け止めている。党としても危機感を持ち一体となって対応しなければならない」と述べるにとどめた。
 松野氏は、自民最大派閥・安倍派の実力者「5人組」の一人。2019年9月から21年10月まで前身の細田派で、実務を担う事務総長を務めた。安倍派では、パーティー券の販売ノルマ超過分を議員側にキックバック(還流)し、22年までの5年間で1億円超が裏金化した疑いが持たれており、松野氏の関与が焦点の一つとなっている。
 安倍派の問題が表面化して以降、松野氏には1日2回の記者会見で連日質問が集中する。
 松野氏は「この場は政府の立場として答えている。まずは政治団体の対応を注視する」とゼロ回答を連発。内閣記者会の説明要求も「答えを差し控える」と拒否した。官邸筋は「何かを隠しているか、うそをついているように見える」と対応に苦言を呈する。
 首相は9月の内閣改造・自民役員人事で、政権内のバランスを考慮して松野氏と西村康稔経済産業相、高木毅国対委員長、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長の5人組を続投させた。それがかえって集中砲火を浴びる結果を招いた。
 自民内にも松野氏辞任は避けられないとの声が出始めた。中堅議員は「国会が閉会すれば東京地検特捜部の捜査が本格化する。退くしかないだろう」と指摘。安倍派関係者は「松野氏は相当消耗している」と明かす。
 報道各社の世論調査で、内閣支持率は過去最低水準に沈む。政権中枢の一人として首相を支え続けてきた松野氏が辞任すれば、政権の屋台骨が大きく揺らぐのは間違いない。5人組の高木、世耕両氏にも裏金疑惑が持ち上がった。閣僚経験者は「安倍派どころか自民党、政権そのものが崩壊しかねない」とつぶやいた。