＜金口木舌＞冷ややかな目に気が付いて

　「派閥」を辞書で引けば「出身や利害関係などで結びつく排他的な小集団」などとある。語感はネガティブだが、人の集まるところ、派閥は存在する

▼以前取材した大学生が、政治のことを「おじさんたちの仲良しグループが身内で好きにやるもの」と表現した。政策を棚上げにし、派閥の力学で物事が決められることも政治離れを招いていよう
▼自民党安倍派などの政治資金パーティーを巡る問題が連日報じられている。派閥からのノルマを超えたパーティー券の販売収入を議員が受け取る「キックバック」という仕掛けも明らかとなった。巨額の裏金疑惑に国民はあきれている
▼岸田文雄首相は「先頭に立って信頼回復に努力したい」といい、自ら率いる派閥から一時離脱を表明した。「当面」のパーティー自粛も打ち出したが、国民の意識とはかけ離れている
▼積極的に真相を究明しようとしない国会議員の姿勢は、ほとぼりが冷めるのを待っているかのよう。派閥という仲良しグループの輪の中には、国民の冷ややかな視線は届かないのだろうか。