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松野官房長官 更迭へ 内閣改造「年内」浮上 パー券裏金 安倍派幹部扱い焦点


松野官房長官 更迭へ 内閣改造「年内」浮上 パー券裏金 安倍派幹部扱い焦点 8日、記者会見する松野官房長官=首相官邸
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相は、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金問題を巡り、松野博一官房長官を交代させる方向で検討に入った。事実上の更迭となる。松野氏以外を含め内閣改造・党役員人事を年内に実施する案も政権内に浮上した。臨時国会会期末の13日以降で調整するとみられる。与党関係者が9日、明らかにした。パーティー券販売ノルマを超えた売り上げからキックバック(還流)を受けたとされる安倍派幹部の扱いが焦点となる。 (2面に関連)
 東京地検特捜部は国会閉会後、捜査を本格化させる。安倍派の歴代事務総長への任意聴取を検討している。
 松野氏には原則1日2回の記者会見で資金還流の質問が集中し、内閣の発信機能が停滞している。会見や国会答弁では「私の政治団体について精査し、適切に対応したい」など同じ回答を繰り返した。内閣の要である官房長官の辞任は異例。内閣改造であれば小幅と見込まれ、更迭の印象を薄める思惑もありそうだ。
 松野氏は派閥実務を取り仕切る事務総長を2021年10月まで約2年間務めた。最近5年間で計1千万円超の資金還流を松野氏側が受け、政治資金収支報告書に記載しなかったとされる。
 首相は資金還流疑惑の広がりや捜査の行方を見ながら、人事の対象、規模を判断。政権の立て直しを図る考えだ。
 安倍派は党最大派閥。22年までの5年間で1億円超が裏金となり、少なくとも10人以上がキックバックを受けていた疑惑がある。塩谷立座長や実力者「5人組」の松野氏、自民党の高木毅国対委員長、西村康稔経済産業相、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長の側にそれぞれ資金還流があったとみられる。
 5人組はいずれも内閣や党の要職にあり、首相は交代の要否を考慮する。高木、西村両氏は事務総長経験者。
 首相や松野氏は9日、いずれも公務があったが、資金問題について言及することはなかった。