<金口木舌>食のありがたさを思う


<金口木舌>食のありがたさを思う
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 食事の後の「ごちそうさま」は元々「走り回る」を意味する。韋駄天(いだてん)という俊足の神様が各地を走り回って食べ物を集めたとの言い伝えがあり、食に感謝する言葉に変わったとされる

▼現代の韋駄天は、食に関する仕事に就く人たちかもしれない。米や野菜を育て、加工して流通し、店頭で販売する。食べ物が家庭に届くまでに、多くの人たちが各地で汗を流す
▼サッカーJ1のヴィッセル神戸は本拠地のスタジアムで農園を運営する。地域住民を中心に、子どもたちも一緒に野菜を育てる。農業従事者の苦労や喜びを知り、食育にもつながる
▼県内でも田植えや農作物の収穫に子どもたちが参加する。自ら汗を流して育て、収穫した作物を食べた時の感動は格別なはずだ。農業者や高齢者と交流する機会にもなり、地域も活性化する
▼食べ物が食卓に並ぶのは当たり前ではなく、生産者らの尽力のおかげだと実感する。食の大切さを再認識し、子どもたちに伝えることも重要だ。そして食後は心を込め、声に出して言いたい。「ごちそうさま」と。