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ガザ停戦決議案否決 安保理、米がまた拒否権


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ニューヨーク、エルサレム共同】国連安全保障理事会は8日、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ情勢を巡り、即時停戦と全ての人質解放を求める決議案を否決した。イスラエルを擁護する常任理事国の米国が拒否権を行使した。15理事国のうち日本やフランスなど13カ国が賛成し、英国が棄権した。またも常任理事国の特権が安保理の対応を阻んだ。軍はガザ北部や南部でハマス掃討作戦を続けた。 (12面に関連)
 国連のグテレス事務総長が6日、国連憲章上の権限に基づいて安保理に異例の注意喚起をし「人道的な大惨事の回避」を要請していた。米国が今回のガザ情勢で拒否権を発動するのは10月18日に続き2度目。ガザで民間人犠牲拡大と人道危機悪化が続く中、国際社会ではイスラエルに自制を求める声が強まっており、米国の孤立化と求心力低下は不可避の情勢だ。
 一方、イスラエル軍は9日、ガザでハマスの掃討作戦を継続した。各地で空爆や砲撃が相次ぎ、ガザ保健当局は同日、中部デールバラハの病院で71人、南部最大都市ハンユニスの病院で62人、計133人の死亡が確認されたと明らかにした。保健当局の8日の発表によると、10月の戦闘開始以来、ガザ側の死者は計1万7487人に上った。
 米国のウッド国連次席大使は「停戦要請はハマスを復活させ、イスラエルへの奇襲が繰り返される」と主張。米国は人質解放のため戦闘休止再開を働きかけると語った。