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性的少数者、就職や仕事に悩み 住基台帳を基に全国初調査


性的少数者、就職や仕事に悩み 住基台帳を基に全国初調査 性的指向と性自認による意識の比較
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

国立社会保障・人口問題研究所の釜野さおり氏らの研究チームがこのほど、住民基本台帳を基にした性の多様性に関する全国調査の結果を公表した。チームによると、住基台帳による無作為抽出の全国調査は初。自分自身についてLGBTを含む性的マイノリティーと回答したのは3.5%。全体と比べ、就職や仕事に悩みを抱えやすい現状などが裏付けられた。
チームは「企業や政府が問題を認知し、施策など多方面で役立ててほしい」と期待する。
今年2~3月、住基台帳から無作為に抽出した18~69歳の計1万8千人を対象に調査。5339の有効回答を分析した。性的指向と性自認について、同性愛者の「ゲイ」「レズビアン」、両性愛者の「バイセクシュアル」、出生時の性別と性自認が異なる「トランスジェンダー」、他者に性的関心を抱かない「アセクシュアル」と回答したのは計3.5%。「異性愛者」としたのは79.0%だった。
日常の困り事を尋ねる設問(複数回答)では、「仕事や就職」を挙げたトランスジェンダーが78.1%、同性愛者・両性愛者が57.0%で、全体の36.9%と比べて極めて高かった。
「子どもを持ちたいか否か(養子や里子も含む)」との問いに「持ちたい」と答えた人の割合はトランスジェンダーでは31.3%、同性愛者・両性愛者では38.6%で、全体の23.4%より高い。一方、主に同性カップルの関係を公的に認めるパートナーシップ制度が、居住の自治体に「あるかどうか分からない」と回答したのは全体の82.6%で、制度が浸透していない現状も浮かんだ。
チームの法政大の平森大規助教は「これまで国内での性的マイノリティーの数量的な研究は限られていた。今回の調査は統計的手順を踏まえたデータで汎用(はんよう)性は高く、多くの場面で役立ててほしい」と話した。