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子3人以上 大学無償化 政府 少子化対策、年3.6兆円


子3人以上 大学無償化 政府 少子化対策、年3.6兆円 こども未来戦略案の主なメニューと財源確保策
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は11日、「次元の異なる少子化対策」の具体的政策や財源を盛り込んだ「こども未来戦略」案を公表した。3人以上の子どもを育てる多子世帯の経済的な負担を軽減するため、子ども全員を対象に2025年度から大学授業料など高等教育費を無償化すると新たに明記。3兆円台半ばとしてきた追加財源は、年3兆6千億円程度となる。財源確保のため、公的医療保険料に上乗せする「支援金」は26年度から徴収する。(4面に関連)
 こども未来戦略会議(議長・岸田文雄首相)で提示した。首相は「少子化は最大の危機だ。政府を挙げて取り組む」と述べた。6月にまとめた戦略方針が肉付けされ、財源を含む全体像が明らかになった。月内に閣議決定する。支援金の一人一人の具体的な負担額に焦点が移る。
 多子世帯は経済的な負担が特に大きいため、大学の授業料と入学金は「25年度から無償にする」とした。所得制限は設けず、授業料を国公立大は年54万円、私立大は年70万円を上限に補助。短大や専門学校も含める。子どもを3人以上扶養していることが条件で、卒業後に就職し、扶養から外れた子どもは人数に数えない。
 低所得のひとり親世帯向けの児童扶養手当を拡充する。満額支給となる年収上限の目安を「160万円」から「190万円」に引き上げ、多子世帯の加算も増やす。
 子育て世帯に支給する児童手当の拡充では、第3子への加算期間を「第1子が22歳になる年度末まで」に延長。親の就労の有無に関係なく保育を利用できる「こども誰でも通園制度」は26年度から全国展開する。
 年3兆6千億円の財源は、社会保障の歳出削減(1兆1千億円)、既存の予算の活用(1兆5千億円)、幅広い世代や企業からの支援金(1兆円)で捻出する。
 支援金は、歳出削減と賃上げで社会保険の負担を軽減し、その範囲内で徴収。26~28年度に段階的に拡充する。経済的能力に応じた負担とし、低所得者らに軽減措置を設ける。個人の具体的な負担額は示さなかった。平均で月500円程度と見込む。所得や加入する医療保険などで異なり、制度開始時の負担額は26年度までに決める。