有料

自律神経刺激で糖尿病改善 マウスで実験 インスリン分泌増加


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 糖尿病の状態にしたマウスの膵臓(すいぞう)につながる自律神経を刺激することで、血糖値を下げるインスリン分泌量が増えて症状が改善したと、東北大のチームが11月10日付の英科学誌に発表した。体内で唯一インスリンを作る膵臓の「ベータ細胞」が刺激で増殖したという。チームは人への応用法を開発したいとしている。
 実験は、近赤外線を当てると「迷走神経」という自律神経が刺激されるようにマウスの遺伝子を改変。近赤外線を断続的に当て続けると、照射を受けていないマウスと比べ、ベータ細胞量が多くなり、血糖値の上昇が抑えられた。餌を食べた状態を再現するためブドウ糖を投与すると、血中インスリンの数値は最大で約2倍になった。
 チームはこの仕組みを人に応用する手法の開発を検討。別の病気の治療では、迷走神経を電気で刺激する装置が実用化されており、頸部(けいぶ)の電気刺激でベータ細胞が増えた例があるという。今井淳太准教授(内分泌代謝学)は「膵臓付近の迷走神経を刺激する機器を開発できれば、これまでにない糖尿病治療ができる」と話した。