2004年10月に起きた新潟県中越地震をきっかけに、避難所や車中泊で懸念される「エコノミークラス症候群」を調査してきた新潟大特任教授の榛沢和彦医師(59)が、被災者の健康調査を長期的に続ける必要性を訴えている。狭い場所での避難生活で脚に血栓ができた場合、10年、20年後も注意が必要だといい、震災20年となる来年に向けて注意を呼びかける。
エコノミークラス症候群は、人が多い避難所や、車中で寝泊まりするなど狭いスペースで長時間同じ姿勢でいると、脚の静脈に血の塊(血栓)ができる。血栓が肺に移動して血管を詰まらせる突然死のリスクもある。
榛沢医師は中越地震以降、11年の東日本大震災など多くの災害現場で、避難者の血栓を調べてきた。これまでの分析で、血栓の治療後も、血栓の残存や、肺塞栓(そくせん)症、脳梗塞、心筋梗塞などの循環器疾患につながる可能性があることが分かった。
調査データは、主に新潟県の長岡市や小千谷市、岩手県の陸前高田市や大槌町などで行う無料検診を通じて集めてきた。新潟県に関しては、震災20年の節目でデータをまとめる。今後も長期的影響を調べて、避難所環境に関連する健康被害を予防したいと考えている。
だが新型コロナウイルス禍の影響もあり、無料検診の継続を断念した地域もある。そのためクラウドファンディング(CF)を実施し、CFサイト「academist」で100万円を目標に12月21日まで支援を募る。
有料
エコノミー症候群調査を 中越地震20年を前に医師
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琉球新報朝刊
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