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配信犯罪/桜坂劇場・16日公開/ネットの闇に切り込む


配信犯罪/桜坂劇場・16日公開/ネットの闇に切り込む
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 メイプル超合金のカズレーザーさんが漫才中、顔にかかった蜘蛛(くも)の巣を払うように「ここwi―fiとんでるな」とすっとぼける小ネタがある。数年前のM1グランプリで初めて見て以来、張り巡らされたwi―fiの網が、私にも見えるようになった。というのは冗談ですが、wi―fiを払うしぐさに、インターネットに対して抱いていた感情を具現化してもらった気がしてうれしかった。
 オナラや裸、嫉妬する自分など、恥ずかしい姿は本来、極力人目にさらしたくない。wi―fiが目に見えないから、内に秘めるべき恥ずかしい悪意や欲望が、無責任に、無配慮に世に出て誰かを傷つける。デジタル性犯罪という悪意も「誰からも見られていない」という安心感の結果。
 そんな心理を逆手にとってインターネットの闇へ切り込んだのがこの作品。明らかな犯罪に、ためらうことなく視聴者として加担する人々。ではもし、レイプされる女性が愛する人だったなら?監督はチェ・ジュヨン。
 (桜坂劇場・下地久美子)