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岸田内閣、緊張の再出発 安倍派抜き、政治不信重く


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田内閣は15日、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金問題を受け、閣僚から安倍派を外した新体制で再出発した。松野博一氏と交代した林芳正官房長官らが就任後初めての閣議に出席。各閣僚は記者会見で「緊張感」「危機感」と発言を重ねた。岸田文雄首相には政治不信の払拭という重い課題がのしかかる。
 異例の緊急登板となった林氏は、閣議後の記者会見で「予算編成など重要課題が大詰めだ。緊張感を持って臨む」と強調。内閣官房職員への就任あいさつでは「首相を支え、政策の総合調整や政府のスポークスマンとしての役割を果たす」として、国民の信頼回復に努める姿勢を打ち出した。
 新任の斎藤健経済産業相は会見で「大変厳しい、冷たい逆風の中での着任となり、高揚感はない。あるとすれば、重責を担うことになった身の震えるような緊張感のみだ」と気を引き締めた。
 自民党で派閥に所属していない高市早苗経済安全保障担当相は「政治への信頼を損ねる事態に強い危機感を持っている。自民党の政治家としておわびする」と陳謝した。公明党の石井啓一幹事長は政治資金の透明性向上へ党内議論を進めると語り、政権与党としての対応を促す意向だ。
 一方、パーティー収入の還流に関し、派閥の指示を受けて収支報告書に記載しなかったと明かした宮沢博行前防衛副大臣は、防衛省で閣僚や副大臣が離任する際に恒例となっている栄誉礼を辞退した。
 首相は13日の会見の冒頭で政治資金問題を切り出し、遺憾の意を表明した。