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イスラエル軍、人質誤射/3人死亡、政権へ反発も


イスラエル軍、人質誤射/3人死亡、政権へ反発も 15日、イスラエル・テルアビブで、人質3人への誤射を受けて抗議する人々(ロイター=共同)
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 【エルサレム共同=岡田隆司、橋本新治】イスラエル軍は15日、パレスチナ自治区ガザ北部シャジャイヤで戦闘中、イスラム組織ハマスに拘束されていたイスラエル人の人質3人を誤射し、全員が死亡したと発表した。「全責任は軍にある」として「深い自責の念」を表明した。ハマス掃討作戦を優先するネタニヤフ政権への反発が強まる可能性がある。米高官はガザ攻撃の規模縮小でイスラエル側と一致したとしているが、時期や条件は見通せていない。 (7面に関連)

 イスラエル中部テルアビブでは15日夜、数百人が政府に抗議し、人質の即時奪還を求めてデモ行進した。人質家族会は16日「特別声明」を発表する。家族の間では、掃討作戦を支持する声がある一方、解放交渉の重視を求める意見も強い。
 米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は15日、イスラエルとは「強度の低い作戦への移行」が重要になるとの認識で合意していると語った。時期や方法は「イスラエルが決めることだ」とした。
 死亡した人質3人はいずれも男性。シャジャイヤではここ数日、激しい戦闘が続いている。軍は3人がハマスから逃げ出したか、見捨てられたとみられると説明した。
 イスラエルメディアによると、軍の予備調査では3人は白い布を付けた長い棒を持っていた。「白旗」を掲げて助けを求め、誤射を避けようとしていた可能性がある。
 ハマスは11月24日から1週間の戦闘休止中、人質105人を解放、依然130人前後を拘束しているとみられる。ロイター通信によると、イスラエル側は人質のうち20人ほどが既に死亡していると考えているという。
 軍は16日も攻撃を続け、パレスチナのメディアによると、北部ジャバリヤでは民家への空爆で子どもを含む14人以上が死亡した。ガザ保健当局によると10月の戦闘開始以降、ガザ側の死者は1万8700人以上に上る。
 中東の衛星テレビ、アルジャジーラは15日、同社のカメラマンが南部ハンユニスで軍の攻撃により死亡したと発表した。
15日、イスラエル・テルアビブで、人質3人への誤射を受けて抗議する人々(ロイター=共同)