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安倍派議員の聴取開始 規正法違反疑い 対象数十人か 22年は還流分記載依頼


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で、東京地検特捜部が安倍派議員への任意の事情聴取を始めたことが16日、関係者への取材で分かった。高額の還流を受けた議員から聴取するとみられ、対象は数十人に上る見通し。特捜部は政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで調べている。近く安倍派側を強制捜査する方針で、組織ぐるみの裏金づくりの全容解明を目指す。 (2面に関連)
 派閥側が2022年のパーティーで還流した現金について、議員側に対し、パーティー収入として政治資金収支報告書に記載するよう依頼したケースがあったとみられることも判明。派閥で還流を問題視する声が上がり、議員側の収入の扱いとし、裏金を隠そうとした可能性がある。
 関係者によると、安倍派ではパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分を、派閥側の収支報告書の収入に記載せず議員側に還流。支出にも記載せず、受領した議員側も収入として書いていなかった。特捜部は議員本人への聴取で不記載に関する認識を確認する。
 不記載罪などの時効がかからない18~22年の5年間で、還流分は総額約5億円の可能性がある。大野泰正参院議員(岐阜選挙区)側は5千万円超、池田佳隆衆院議員(比例東海)側と谷川弥一衆院議員(長崎3区)側は4千万円超を受け取っていたという。
 安倍派では22年春ごろのパーティー券販売開始後、事務方が「還流はしない」と議員側に伝えた。不適切との指摘を受けた対応だったが混乱が生じ、22年5月のパーティー開催後に還流を実施。ただ派閥側が議員側に還流分を各自のパーティー収入として、収支報告書に記載するよう求めたケースがあったという。
 特捜部はこうした経緯を派内の実務を取り仕切る事務総長経験者への聴取でも確認するとみられる。
 21年10月までは松野博一前官房長官が務め、後任は西村康稔前経済産業相、22年8月に高木毅国対委員長と交代した。
 政治資金規正法は政治団体の会計責任者に収支報告書の提出義務を課している。