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防衛費 過去最大7.7兆円 政府調整 長射程弾の取得費計上


防衛費 過去最大7.7兆円 政府調整 長射程弾の取得費計上 防衛費の推移
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 政府は2024年度予算案の防衛費を約7兆7千億円(米軍再編経費を含む)とする方向で最終調整に入った。27年度までの5年で総額約43兆円を投じる防衛力の抜本的強化の2年目で、過去最大だった23年度当初の約6兆8千億円を大きく上回る。他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の手段となる国産長射程ミサイルの取得費や、次期戦闘機の開発費を計上した。政府関係者が16日、明らかにした。
 防衛費増額に向けた増税は開始時期が決まっておらず、財源が定まらないまま支出が膨らむ。予算案は22日に閣議決定される見通しだ。
 陸海空3自衛隊を一元的に指揮する常設組織「統合作戦司令部」を24年度末に240人規模で東京・市谷に発足させる。
 米国の国防高等研究計画局(DARPA)を参考に、画期的な装備品を開発する「防衛イノベーション技術研究所」も創設。失敗を許容しつつ、スピード重視で挑戦的な目標の達成を目指す。
 長射程ミサイルは、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の射程を延ばす「能力向上型」(地上発射型)の取得に961億円を確保。1年前倒しし25年度に配備する。
 射程3千キロの「極超音速誘導弾」に725億円、艦艇や地上の目標を攻撃する新たな精密誘導弾に323億円をそれぞれ開発費として計上した。
 英国、イタリアとの次期戦闘機開発に640億円を充当する。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」に代わる「イージス・システム搭載艦」の建造に着手する。
 南西地域への輸送力として「自衛隊海上輸送群」を新設。離島への装備の陸揚げに使う「機動舟艇」3隻を取得し配備する。