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AI開発、偽情報対策求める 政府 チェックリストに25項目 差別や偏見リスク検証


AI開発、偽情報対策求める 政府 チェックリストに25項目 差別や偏見リスク検証 AIを開発する企業や団体向けチェックリストの主な項目
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が人工知能(AI)開発に携わる企業や団体に点検を求めるチェックリストの概要が16日、分かった。AI開発時に偽情報対策を実施し、差別や偏見を拡散するリスクを検証するなど計25項目程度を列挙。政府が年内に固めるAIガイドライン(指針)の最終案に盛り込む。
 AI開発企業や団体はリストに沿って自ら課題を洗い出し、順守状況を定期的に確認する。AI指針が掲げる「人間中心」「公平性」など10の原則の実効性を確保。AIが国民の権利を侵害したり、社会を混乱させたりする危険を抑制する。
 生成AIはインターネットの膨大な文章や画像などのデータを学習し、利用者の指示に基づいて文章や画像を生成している。AIの学習データに人種や性別、職業などに関する偏見や差別が表れていないかどうかを点検し、差別的な文章を作成したり偏見に基づいて融資や採用の判断をしたりすることを防ぐよう求める。
 学習データに含まれる機密情報や個人情報がAIを通じて漏えいしないようにし、イラストレーターや作家らクリエーターの著作権や知的財産権を適切に保護する措置の実施も要請する。
 AIを使えば容易に偽情報の作成ができることを踏まえ、偽情報や誤った情報の拡散を防ぐため必要な対策を講じることを確認。高齢者や障害者が使いやすいように配慮し、誰でもAIの恩恵を受けられる配慮が必要だと指摘した。AIの判断に影響を与えるデータ収集方法やアルゴリズム(計算手法)が適切かどうか、可能な限り第三者が検証できるようにし、外部への説明責任を果たす責任者の明示を促す。
 政府は罰則など強制力のある法規制によらず、指針やチェックリストを示して企業や団体が自主的にAIの危険を抑制することを後押しする。企業や団体は事業の実態に合わせて25程度の項目を取捨選択し、リストを主体的に修正すると想定している。
 政府のAIガイドライン 人工知能(AI)の開発や利用をする企業や団体に対し示す指針。対話型AI「チャットGPT」などの生成AIの性能が向上し、社会に急速に普及していることを考慮し、総務省と経済産業省が事業主体に合わせて策定していた既存のAI指針を再編し、新しい指針を作ることにした。政府の有識者会議「AI戦略会議」で議論している。