有料

会社の忘年会 県民性で差!?/開催予定調査 沖縄78%、埼玉41%/若者「大勢は嫌」敬遠傾向とされるが…/「雑談は大切 ランチなど代替を」  


会社の忘年会 県民性で差!?/開催予定調査 沖縄78%、埼玉41%/若者「大勢は嫌」敬遠傾向とされるが…/「雑談は大切 ランチなど代替を」   ビールで乾杯する東京・新橋のサラリーマン=東京・新橋
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 新型コロナウイルスの「5類」移行後、初めての忘年会シーズンを迎えている。民間調査会社のアンケートでは、忘・新年会を実施予定と答えた会社が半数超にとどまる一方、都道府県別では30ポイント以上の開きが。若者中心に飲み会離れが進んでいると言われる中、会社行事の「飲みニケーション」への意識はどうなっているのか。 (宮畑譲)

 サラリーマンの飲み会の「聖地」と言えば東京・新橋。年の瀬も迫りつつある11日、行き交う人に昨今の飲み会事情を尋ねた。
 「昔は仕事だもんね。飲み会は。今と比べて何かにつけて開かれていたし。けど、自分も大勢の飲み会は苦手なほう。疲れる。そういう人はいつもいるんじゃない?」。製造業の男性会社員(50)はこう言って苦笑いを浮かべた。
 一方、「率先してやる側だった」と振り返ったのは、元会社員の男性(74)。「いろんな人と飲めば情報も入ってくる。それが仕事につながることもある。若い人もやったほうがいい」と話し、この日も飲み会の待ち合わせ中だった。
 人によって考え方はさまざまだが、気になる点も。東京商工リサーチが先月公表した全国4747企業へのアンケートで、都道府県別の忘・新年会実施予定にかなりの差があったのだ。
 全国平均54・5%に対し、最多は沖縄の78・7%。秋田(73・2%)や大分(70・3%)も多く、東京(57・0%)も平均を上回った。
 一方、最少は埼玉の41・1%で、沖縄と実に37・6ポイント差。千葉(41・5%)や岐阜(41・7%)も少なめだ。関東の他県も、茨城(43・6%)、栃木(47・0%)、群馬(47・7%)、神奈川(50・6%)と平均以下だった。
 統計調査会社「ディグラム・ラボ」代表の木原誠太郎氏は「結果には県民性が出ている」と受け止める。「沖縄は集まってお酒を飲む文化があり、大分も人とのつながりを大事にする」と解説。埼玉、千葉という首都圏で低い数字が出たことに「両県は真面目で落ち着いている県民性がある。加えて、飲み会に関心を示さない、若年層が多い人口動態も関係しているのでは」と分析する。
 やはり、若者は飲み会が嫌いなのか。アンケートでは開催しない理由に「抵抗感を示す従業員が増えた」「開催ニーズが高くない」を挙げる会社も多かった。
 新橋では若年層にも聞いた。IT関係の会社に勤める男性(28)は「個別に親しい人とは行くかも。けど、無理に合わない人とコミュニケーションを取る必要はない」と否定的。IT関係の会社から業務委託を受ける男性(30)も「忘年会はない。気が合う人とならいいが、会社でやる必要はない」と話した。
 会社の飲み会を敬遠する若い人の心理について、雑談の研究をしている公認心理師の川島達史氏は「若い人が飲み会自体が嫌だというわけではない。少人数の親しい人で個別にはやっている」とみる。むしろ、自身が講師を務める講座の参加者の中には「仕事上で人と関わらなくなった、交流がない」と嘆く人が増えたという。
 「人はリアルな交流を求めるもの。感情を受け止めてくれる、共感する時間がないと心が休まらない。心の健康のために集まっての雑談は大切だ」と川島氏。「ランチでもよい。可能なら業務中でも集まって雑談ができる時間を確保するべきだ」と提唱する。
 ちなみにアンケートで忘・新年会を開くとした会社で多かった理由は「親睦」や「士気向上」。令和の時代に飲み会だけで達成しようとするのは時代遅れなのかもしれない。