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低有害性、科学的根拠なし/日本学術会議/加熱式たばこの評価公表


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 加熱式たばこは従来の紙巻きたばこに比べて有害性が低いという科学的根拠はなく、受動喫煙対策での例外扱いをやめるべきだ―。日本学術会議はこのほど、そんな内容の報告書を公表した。
 加熱式は2016年に人気テレビ番組で紹介されたことなどにより、消費が急拡大した。19年の国民健康・栄養調査によると、喫煙者の約4分の1が使用し、特に若い世代に普及している。
 学術会議は加熱式に関する研究結果を総合的に分析。報告書で(1)ニコチン濃度は紙巻きと同等かやや低い程度でニコチン依存症を引き起こす(2)一部の発がん性物質は紙巻きより少ないものの健康障害を起こさないという証拠はない(3)紙巻きよりも高濃度の物質を56種類含み、新たな病気のリスクとなる可能性がある―との評価を下した。
 妊娠時の使用は出産後の妊娠高血圧症、低出生体重、子どものアレルギーなどと関連することや受動喫煙による健康影響への懸念を指摘した。
 受動喫煙対策を強化した改正健康増進法が20年に全面施行された。しかし、飲食店の加熱式専用喫煙室では飲食可能となるなど、国際標準である屋内全面禁煙の義務化は実現していない。
 報告書は「加熱式を例外扱いとしているため、受動喫煙防止が徹底していない。広告規制も不十分である」として、対策の強化を求めている。