有料

日銀、金融緩和策を維持 賃金、物価上昇見極め


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀は19日の金融政策決定会合で、金利を極めて低い水準に抑える現行の大規模な金融緩和策の維持を全員一致で決めた。日銀は、賃金と物価が安定的に上昇する好循環の実現が見通せる状況になれば、マイナス金利政策の解除など金融政策の正常化に踏み出す方針だ。植田和男総裁は会合後の記者会見で「実現の確度は少しずつ高まってきている」としながらも「好循環が強まっていくか、なお見極める必要がある」との見解を示した。
 今後は正常化の開始を判断する時期が焦点となる。植田氏は「もう少し情報がみたいというのが、政策委員の大勢だ」としており、物価動向や2024年春闘で高水準の賃上げが継続するかどうかを詳細に点検する。
 日銀は賃金の上昇を伴う形で物価上昇率を2%に安定させる目標を掲げ、大規模緩和を続けている。緩和策は短期金利をマイナス0・1%とするマイナス金利政策のほか、長期金利を0%程度に誘導するのが柱。長期金利の上限は「1%をめど」とし、1%を一定程度超えることも容認する。
 景気の現状判断は「緩やかに回復している」に据え置き、先行きも「緩やかな回復を続ける」との見通しを維持した。
 植田氏が7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけてチャレンジング(挑戦的)な状況になる」と発言し、市場では日銀が早期に政策を正常化するとの観測が出て円高が進んだ。19日に緩和策の維持が伝わると、外国為替市場で円相場は対ドルで大幅下落し、一時1ドル=144円台後半を付けた。
 植田氏は会見でこの発言について「国会で仕事への取り組み姿勢を問われ、一段と気を引き締めて、というつもりだった」と観測を打ち消した。