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▽1028 若年層の市販薬の過剰摂取 どう対応? 責めず、SOSと理解を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 若い世代に市販薬の過剰摂取が広がっているというニュースを見ました。死亡事故も起きており心配です。何か対策はとられているのでしょうか。また、そういう行為を周囲はどう受け止め、対応すればよいのでしょうか? 
 昨今、中高生などの若い世代における市販薬の過剰摂取は深刻な社会問題となっています。厚生労働省は、薬局やドラッグストアなどに対して「高校生以下の若者に風邪薬などを販売する際には、名前や年齢、使用目的を確認する」という現行ルールの周知徹底を図るよう、都道府県へ通達を行いました。また市販薬の複数販売禁止などの法改正も検討されるなど、さまざまな対策が練られています。
 若い世代による市販薬の過剰摂取の背景には、他の依存症と同様、その人が抱える「生きづらさ」があるといわれています。人間関係の悩みや孤独感、息苦しさを一瞬でも忘れたい、もしくは周囲の過剰摂取している友人知人に取り残されたくないという思いから飲み始め、そのうち耐性や依存性となり、やめたくてもやめられないという状態に陥ってしまうことなどが報告されています。
 周囲が過剰摂取や本人の異変に気がついたときの対応のポイントとしては、本人や過剰摂取した行為そのものを責めるのではなく、その背景にある孤独感や不安などの「生きづらさ」を理解し、適切な医療機関や専門的なサポートにつなげていくことが挙げられます。すぐには理解しがたい面や受け止めづらい気持ちもあるかもしれませんが、過剰摂取も一つのSOS発信のかたちと捉えて対応していくことが大切です。 (沖縄県精神保健福祉士協会 野中芙美)

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