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防衛装備 輸出ルール緩和 三原則改定、安保政策を転換


防衛装備 輸出ルール緩和 三原則改定、安保政策を転換 防衛装備品輸出ルールの主な変更点
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は22日、防衛装備品の輸出ルールを定めた防衛装備移転三原則と運用指針を改定した。直ちに新規定を適用し、米国企業のライセンスに基づき日本で生産する地対空誘導弾パトリオットの米国への提供を決定した。輸出ルールが大幅に緩和され、安全保障政策の大転換となる。2014年の防衛装備移転三原則制定以降、殺傷能力がある武器の輸出を決めたのは初めて。
 改定は防衛装備移転三原則を閣議、運用指針は国家安全保障会議(NSC)で決定し、国会での議論はなかった。武器輸出は国際紛争を助長する懸念が否めないが、国民への説明を欠いたまま輸出が進む恐れがある。
 外国企業が開発し日本企業が許可を得て製造するライセンス生産品について「ライセンス元の国からの要請に基づく提供」を解禁。現在は米国の部品のみ認めているが、完成品を含め米国以外のライセンス国にも可能になる。要請があれば第三国への輸送も認める。
 殺傷能力のある武器や弾薬に関しては、ライセンス国から「戦闘が行われている国」への移転を認めない。米国に提供するパトリオットはウクライナに渡らないが、軍事援助を続ける米軍の弾薬不足を補うことで間接的な支援につながる。一方で、侵略を受けている国には殺傷能力のない装備品全般の提供を解禁する。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、同国への支援で限定的に設けた規定を一般化する。
 現在輸出可能な「掃海」など非戦闘目的5分野については、業務や自己防護のためなら殺傷能力のある武器を搭載していても容認。部品自体に殺傷能力がないものも輸出を認める。