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安保理、ガザ支援強化決議 イスラエルに対応迫る 米棄権


安保理、ガザ支援強化決議 イスラエルに対応迫る 米棄権 パレスチナ自治区ガザへの人道支援強化決議案を採択した国連安保理の会合=22日、米ニューヨーク(国連提供・共同)
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 【ニューヨーク共同=稲葉俊之】国連安全保障理事会は22日、パレスチナ自治区ガザへの人道支援の強化を訴える決議案を採択した。15理事国のうち、イスラエルを擁護する常任理事国の米国は拒否権を行使せずに棄権し、決議を事実上容認。ロシアも棄権し、日本や英国など13カ国が賛成した。ガザ側の死者が2万人を超え、人道危機が深まる中、決議採択でイスラエルに対応を迫った。

 合意形成を優先して決議の文言を調整し、4日連続で採決を延期した。 当初案は「敵対行為の停止」を求めていたが、米国の要求に応じ「敵対行為の停止に向けた環境づくり」に表現を弱めた。

 今回のガザ情勢で安保理決議の採択は2回目。11月中旬の決議で戦闘休止を求め、11月下旬から1週間の休止が実現したが、その後に戦闘が再開している。

 アラブ首長国連邦(UAE)が提出した決議はガザの人道状況に深い懸念を表明。ガザ全域への援助物資供給を認めるよう各当事者に求めた。イスラム組織ハマスの名指しは避け「全ての人質の解放」を要求した。

 当初案は、イスラエルでなく国連がガザへの援助物資搬入を監視する仕組みづくりを求めていたが、これにも米国が反対。最終的には、国連に物資搬入と支援加速を担当する上級調整官の任命を要請するにとどめた。

 米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「人道危機への対応が最優先課題だと示した」と述べた。パレスチナのマンスール国連大使は決議を歓迎。

 イスラエルのエルダン国連大使は採決に出席せず「安保理はハマスを非難しておらず、国連はガザ情勢を扱うには不適切だ」と反発する声明を発表した。