＜金口木舌＞暴力の連鎖を止めるために

　「Love like Joe（ジョーのように愛そう）」。2016年6月、殺害されたジョー・コックス英下院議員＝享年41＝は、パワフルに人権活動や難民支援にあたっていた女性だった。追悼集会で人々はこの言葉を掲げた

▼殺したのは白人至上主義の男で、いわゆるヘイトクライム（憎悪犯罪）とされた。事件はEU離脱の是非を問う国民投票の直前に起きた。男は「英国が第一」と叫んで議員を襲った
▼戦争や政治は偏見や憎悪をエスカレートさせる。ガザを地上侵攻するイスラエルを支持する米国内では、パレスチナ系住民を狙ったヘイトクライムが増えている
▼日本も歴史的に琉球・沖縄人、中国や朝鮮人をおとしめ、侵略戦争に突き進んだ。現在、沖縄への差別は米軍基地の集中という形で続いている。この構造は今起きている戦争や暴力と無関係ではない
▼暴力の連鎖を止めていこう。県民が戦争より対話を、争いより愛を求めることは決して無意味ではない。欲しいのはミサイルではなく、世界中の人々が手を取り合う未来だ。