<金口木舌>「いい正月」を迎えても


社会
<金口木舌>「いい正月」を迎えても
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 冬休みに入った子どもたち。年末が楽しくて、ウキウキしている。私も便乗して休み気分を味わいたいところだが、ある時期から年末は純粋に楽しめなくなった

▼「いい正月を迎えられそうだ」。2013年12月25日、仲井真弘多知事は辺野古の新基地建設を巡り、安倍晋三首相が説明した振興策などをこう評し、程なく埋め立てを承認した。それから年末はチムワサワサーするようになった
▼新基地建設の重大局面はその2年前の年末にもあった。11年12月28日、政府は環境影響評価(アセスメント)の評価書を県庁へ搬入した。しかも、人目を避けた未明の行動。批判の声が渦巻いた
▼あれから10年余。年末のことは偶然だったのか、と思い始めた矢先、政府は28日に大浦湾側の設計変更申請の承認を代執行した。政府は完全に見計らっていたのだ
▼年末はテレビ各局が特番を組み、大きなニュースが入りづらい。年を越せば「忘れる」というのが狙いだと政府関係者から聞いた。私たちをばかにしている。「いい正月」を迎えたとて、絶対に忘れない。