<金口木舌>沖縄から支えよう


社会
<金口木舌>沖縄から支えよう
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 大災害は不意打ちだと分かっているつもりだった。「天災は忘れた頃に」という格言も肝に銘じているつもりだった。それでも全く予期しなかった元日夕の能登半島地震には言葉をなくした
▼民家や大きな建物が倒れ、津波が襲った。道路は寸断された。犠牲者数は50人に上っている。余震は収まらず、避難生活が長引きそうだ。支援を急ごう
▼第一報はテレビだった。アナウンサーは「今すぐ逃げること」「東日本大震災を思い出して」と絶叫調で連呼し続けた。夜間のニュースでは柔らかな口調で避難生活の注意点を挙げていた。住民を避難地へ誘導し、くじけそうな心を支える言葉の力を感じた
▼夜、県庁前で地震を伝える号外を配った。受け取る人の多くは観光客。「大丈夫か」「大変なことになった」。ひとごとではないという思いが言葉から伝わった
▼避難所は寒かろう。厚手の衣類や毛布はあるか。断水が深刻だ。飲料水は足りているか。過去の大震災を思い出そう。私たちにできることはある。まずは言葉を発したい。「沖縄から支えよう」と。