<金口木舌>真の観光立県へ


社会
<金口木舌>真の観光立県へ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄の経済が息を吹き返している。年間観光客数は800万人に迫る勢いで増え続け、コロナ禍の閉そく感を脱し、すっかり活気を取り戻した

▼振り返ると、けん引役の沖縄観光は危機をバネに成長してきた。始まりは1975年の海洋博の直後。官民一体で奮闘し、「海洋博ショック」と例えられた苦境から脱した。この経験は今に生きる
▼「基地に代わる産業を育てなければならない。それは観光しかない」と語ってきた沖縄観光の父・宮里定三さんは当時の苦境と闘った1人。存命ならば、その目に今の沖縄観光はどう映るだろう。海洋博から49年。節目の半世紀に向けて大事な年になりそうだ
▼今年は辰(たつ)年。龍は隆盛の象徴という。観光客数最多1千万人超の再現に期待値が上がる。昨年、41年ぶりの伸び率を見せたインフレにも商いは旺盛のままだ
▼インバウンド(訪日客)の回復など好材料はそろう。サービス業や製造、建設と波及し、さらには賃上げにつながる好循環で上昇気流を描けるか。真の観光立県へ。「県民一体」の力が試される。