<金口木舌>「雨のち晴れ」の主人公


社会
<金口木舌>「雨のち晴れ」の主人公
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「伴走型支援」は、寄り添いつながり続けることを目的とした支援だ。経済的困窮に苦しむ人に金銭を、病に苦しむ人に医療や介護サービスを提供するだけでは社会的孤立から救えないという考えから、近年注目されている

▼連載「雨のち晴れ」の主人公は那覇市で飲食店「琉球かさ屋」を経営する玉城あきさん。シングルマザーやナイトワーカーの女性を雇い、一緒に働きながら支援する。エアコンなしで生活するスタッフがいれば、提供者を求めて駆け回るなど、親身になって困り事を解決する
▼スタッフは個性も生活環境もさまざま。決まった時間に出勤できない人がいても、あき社長は「明日が見えない生活をしている子にとって仕事の優先度は低い」と理解を示し、見捨てない
▼不登校、精神疾患による入院、経済的困窮―。あき社長自身も苦しんだ過去がある。その経験が「伴走者」としての適性につながっている
▼「ネガティブは伸びしろ」と、暴風雨のような過去さえ笑い飛ばす。明るさと行動力で「雨」も「晴れ」に変える力を感じる。