<金口木舌>能登半島地震1週間


<金口木舌>能登半島地震1週間
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 旧知の縁で石川県能登半島のおおらかな言葉に耳なじんできた。独特の音階、伸びる語尾。「だらぶち」(馬鹿)などといった俗語は豪気で懐かしい

▼大地震の発生から1週間。生き延びた声に、失ったか行方知れずの人へ振り絞る声に、避難の苦労や今後の不安を語る声に、それは私たちの声だったのかもしれないと思い巡らす
▼死者、安否不明者、避難者の数が毎日積み上がる。輪島市、珠洲市では住民の半分以上が避難し、能登町、内灘町も含めて住宅の全半壊の全容はいまだ不明。奥能登以外の被害も深刻だ。障がい者など動きづらく声を上げづらい人もいるだろう
▼石川県が連日更新する安否不明者のリストで、たくさんの高齢者の中にコロナ明けで帰省していたか幼い人、若い人の名が交じる。外国の人もいる
▼成人の日を迎えて現地で行われるはずだった二十歳の集いは軒並み中止された。多難続きの世だが人生は続く。冷たい雨から雪が降り出した現地の寒さやこれから先の生活再建を思い、途方に暮れずに支援を、言葉を届け続けよう。