<金口木舌>災害時の性犯罪防止を


社会
<金口木舌>災害時の性犯罪防止を
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 昨秋上京した際、地下鉄の構内にあったポスターに目がとまった。「痴漢 目撃 助けたい 助ける準備、できていますか」。具体的な対処法を、イラストと共に示す

▼東京都交通局が都内の大学生と協力して作ったという。見て見ぬふりをせず、目撃した時に被害者を救う心構えがあるだろうかと、周りの人に問いかける
▼一昔前は「ちかんに注意!」などと、被害者に自己防衛を求めるものが多かった。地下鉄のポスターに時代の変化を感じた。性犯罪を許さないという空気が広がってほしい
▼大地震に見舞われた能登半島の避難所に身を寄せる女性たちのことを思う。震災時は混乱に便乗し、詐欺や窃盗だけでなく性犯罪も横行する傾向があるとされる。「女性や子どもは一人で行動しないで」と、SNS上で呼びかけが広がっている
▼弱者に自己防衛を求める社会でよいのかと思う一方、危険を回避する方法も伝えなければいけない。周りの人たちに問う。「助ける準備、できていますか」。平時でも有事でも性被害のない社会を願う。