<金口木舌>県産レモン花盛り


<金口木舌>県産レモン花盛り
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「桃栗三年柿八年」には続きがある。よく聞くのは「柚子(ゆず)の大馬鹿十八年」。植えてから収穫まで18年かかってはたまらない。嘆きたくなるのも分かる。実際は10年ほどだが、果樹栽培の難しさを表している

▼県産レモンの出荷が北部で本格的に始まった。シークヮーサーの木に接ぎ木するなどして3~5年で実を付けた。ただ、沖縄の風土にあった品種を選別するなど、生産体制を整えるのに10年以上かかった
▼本部町のアセローラ農家への取材を思い出す。栽培から本格的な出荷まで約10年がかりだったと聞いた。今では農家も増えて、日本一の産地を誇るまでになった
▼ビタミンCはレモンの約30倍といった評判でファンを増やした。レモンも負けずに人気は高く、国内需要は年々増加。うち国産レモンは1割というから販路を広げるチャンスは大きい
▼「柚子は九年の花盛り」というフレーズもあるらしい。県産レモンが置き換えられそうだ。嘆くこともあったろう。農家の喜ぶ顔が目に浮かぶ。食卓を彩る県産レモン。今後の成長が楽しみだ。