石垣の「住民避難訓練」半数が動員 市職員約50人、自衛官も参加 弾道ミサイル想定で歩くだけ「どのくらい効果が…」 沖縄


石垣の「住民避難訓練」半数が動員 市職員約50人、自衛官も参加 弾道ミサイル想定で歩くだけ「どのくらい効果が…」 沖縄 公園から避難し頭を下げる参加者=12日午前10時15分、石垣市民会館大ホール
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 石垣市は12日午前、県や国と主催し、弾道ミサイルの飛来を想定した住民避難訓練を石垣市民会館などで実施した。

 訓練には市民ら92人が参加した。市は参加者の内訳は「取りまとめていない」として明らかにしていないが、複数の関係者によると50人程度の市職員を動員した。自衛隊員も避難者として参加した。訓練そのものを知らない市民が多く、関心の薄さが際立った。 

 訓練は仮想の「X国」から弾道ミサイルが発射され、沖縄上空を通過した想定。午前10時4分開始予定だったが、機械のトラブルで同10分ごろに始まった。模擬の全国瞬時警報システム(Jアラート)が新栄公園に流れると、参加者は速やかに歩いて石垣市民会館に移動し、大ホールの席で訓練終了の合図まで静かに頭を下げていた。

 終了後には、参加者が感想を述べ「子どもと参加することで自分ごととして捉えることができた」などと振り返った。一方、参加者の一部には、歩いて避難するだけの内容に「本当の事態ではパニックになるはず。この訓練にどのぐらいの効果があるのか」と、懐疑的な見方もあった。

 市民会館近くの新栄公園にいた親子連れらは「せっかくの休みに訓練どころではない」「自然災害なら関心あるが、ミサイルが来るのかね」と疑問視する声もあった。午後には石垣市役所で弾道ミサイルを迎撃した想定で、市職員の初動対処訓練が実施された。

 訓練終了後、中山義隆市長は「初動の住民避難や落下物の確認を含め総合的な訓練ができた」と意義を述べた。一方、一般参加者が少なかったことについて「住民の関心がなく」「周知徹底」が課題との認識を示した。
 国民保護に基づく弾道ミサイル避難訓練は県内では2022年11月に与那国町、23年1月に那覇市で実施され石垣市で3例目となった。 

(照屋大哲、嘉陽拓也)