12日に石垣市で実施された、弾道ミサイルの飛来を想定した避難訓練。午前は住民避難訓練に92人の市民が参加し、午後は市役所で国からの情報を防災無線で速やかに伝達する初動訓練が実施された。
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参加した住民は「勉強になった」と感想を述べ、市側も「住民を守るために必要」と意義を強調した。訓練は定員100人に対し応募は二十数人足らずで、市職員を動員するなど関心の薄さが浮き彫りになった。「本当にミサイルが来るのかね」と訓練を冷ややかに見つめる住民の姿もあった。
午前の住民避難訓練では、国の担当者から事前説明を受けた参加者が市新栄町の新栄公園で待機した。機械トラブルのため、数分遅れて職員が拡声器で避難を呼びかけると、参加者は歩いて石垣市民会館の大ホールに移動し頭を手で覆い、低い姿勢を維持した。講評の場面では参加者が「実際に参加することで自分ごととして勉強になった」「避難時に周囲の人に呼びかけるべきか判断に迷った」などと述べた。
訓練後は複数の参加者が報道陣の取材に応じた。外国籍の70代男性は「外国語のアナウンスがないので逃げる際に困ると思う」と語ったが、国の担当者によると警報は日本語のみという。50代の女性は「誘導されながら歩いて逃げるだけの訓練が現実の場面で生きるだろうか。違う設定があってもいいのでは」と語った。
新栄公園で訓練を見ていた70代女性は「自然災害の訓練なら参加するけど、来るか分からないミサイル訓練には行かない」と首を振った。3歳の息子と公園に来た父親(40)は訓練に理解を示したが「台湾有事」などと危機をあおる雰囲気に「身近に感じないし実感がない」と述べた。
住民避難訓練では一般の応募者が少なかったため、本紙記者が参加者に感想を求めた際に「市職員だから」と断られたり、「全国瞬時警報システム(Jアラート)の仕組みや避難経路が分かった」と答えた参加者が自衛隊員だったりした。市側は、参加者の属性について「市職員も市民の一人」と説明したが、自衛隊員の参加は把握していないという。
(照屋大哲、嘉陽拓也)