<金口木舌>正しい「頭」の使い方


社会
<金口木舌>正しい「頭」の使い方
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 「頭」が登場する言葉の表現は多い。柔軟な考えができないことを「頭が固い」と言い、名案が浮かばず考え込む様子は「頭を抱える」と表現する

▼14日付の本紙1面に頭を抱える人々の写真があった。何かに悩み考え込んでいるわけではない。石垣市で弾道ミサイルの飛来を想定した訓練に参加し、終了の合図を待っているという
▼内閣官房の国民保護ポータルサイトは、ミサイル落下時に取るべき行動として「頭部を守る」ことなどを挙げる。石垣の訓練でも手順を確認したのだろう。「備えあれば憂いなし」と言うが、実際にミサイルが落下したら想定外の事態が起こる
▼石垣の訓練参加者の半数近くが市職員の動員で、自衛隊員も避難者として参加したようだ。でも危機が迫った時、最も被害を受けるのは一般市民であることを忘れるわけにはいかない
▼ミサイルの飛来を不安視して思い悩むより、外交努力で発射を防ぐ方が効果的だ。訓練を繰り返して満足するようでは頭が固い。国民が安心して暮らすために何が必要か、頭をひねって答えを出そう。