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海軍オスプレイ「運用不適」 防氷装置など 米国防総省報告 嘉手納にも複数機


海軍オスプレイ「運用不適」 防氷装置など 米国防総省報告 嘉手納にも複数機 米軍嘉手納基地を離陸するCMV22オスプレイ(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの海軍仕様機CMV22について、米国防総省の試験機関が今年1月に出した報告書で、防氷装置の不具合などで「運用に適していない」との評価を示したことが19日までに、分かった。

 オスプレイを巡っては昨年11月に鹿児島県・屋久島沖で起きた墜落事故を受け全世界で運用が停止されているが、以前はCMV22も県内にたびたび飛来しており、現在も複数機体が嘉手納基地にとどまっている。オスプレイは安全性に対する懸念があらためて強まりそうだ。

 米国防総省の運用試験・評価局が1月に出した2023会計年度の年次報告書で、CMV22は多くの不具合が起き「運用に適していない」と指摘した。任務中止や終了につながった不具合全体の44%で、機体に氷が付着するのを防ぐ防氷装置が関わっていた。

 防氷装置の不具合で発生した問題の詳細は記されていないものの16年の年次報告書では空軍のCV22について防氷装置における問題を繰り返していると記載し、同じ装置を備える海兵隊のMV22でも似た問題が起こり得ると指摘していた。
県内でも、22年3月に新石垣空港に緊急着陸した海兵隊のMV22について、防氷装置に不具合が生じたことが原因だったことが明らかになっている。

 航空評論家の青木謙知氏は「上空を飛べば氷が付着する。それを防止するために装置を備えている」と説明。もし防氷装置が機能しなければ「最悪の場合、墜落など事故につながる」と語った。青木氏によると、他のオスプレイも同じ構造の防氷装置が付いている。

 1月の報告書で、防氷装置以外の不具合は事例や内訳は記されていない。不具合の他に飛行時間当たりの整備時間も要件を満たしていなかったことが盛り込まれている。

(明真南斗、知念征尚)