<金口木舌>燃え上がる女性記者たち


社会
<金口木舌>燃え上がる女性記者たち
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 子どもが幼いころ、仕事で帰りが遅くなることに罪悪感を覚えた。夕ご飯をあげる、お風呂に入れる、寝かし付ける。逆算すると午後6時には帰りたい。でも帰れない。夫が協力的でも、連日となるとお互いストレスがたまる

▼同じ思いを抱いているのではないか。ドキュメンタリー映画「燃え上がる女性記者たち」に出てくるインドの女性記者たちだ。取材現場を駆け回り、家に帰ると「一日中仕事ばかり」と夫に小言を言われる
▼カースト制の最下層に属する彼女たちが仕事をするのは並大抵のことではない。スマホを武器にインド社会の因習に挑む。テーマは身近なトイレの問題から政治まで多岐にわたる
▼「(メディアには)人権を守る力がある。それを人々の役に立てるべきだと思う」。逆境に向き合う記者ミーラの決意が伝わる
▼男性も女性もとらわれがちな「こうあるべきだ」という社会通念と彼女たちは闘っている。日本はどうだろう。女性の生き方と報道の在り方、双方について考えさせられる。2月29日まで、シアタードーナツで上映中。