<金口木舌>甘くない金太郎飴


社会
<金口木舌>甘くない金太郎飴
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 約20年前の法科大学院草創期のこと。司法試験など国家資格に関する予備校批判が「相当にこたえた」そうだ。弁護士で司法試験受験指導校「伊藤塾」の塾長、伊藤真さんの回想だ

▼批判とは論文試験の内容が「金太郎飴(あめ)のように同じような答案ばかりで面白みがない」というもの。法曹関係者らが、受験テクニックを教える予備校に矛先を向けた。しかし、実際の判決も十分に金太郎飴だ
▼例えば15日の辺野古サンゴ訴訟の判決。識者が言う。「昨年9月の設計変更不承認を巡る最高裁判決が述べた論理を、ほぼそのまま踏襲した」
▼嘉手納爆音訴訟の夜間の飛行差し止め請求もそう。米軍基地の運用には日本の法の支配が及ばないとする「第三者行為論」で住民敗訴が続く。法的安定が裁判は求められようが、こうも同じ判断では
▼政府が絡むと民意を差し置いてでも裁判所は判決を変えようとしない。これでは絵面も味も不細工な金太郎飴のようだ。三権の一翼がひるめば沖縄は救われない。判決のたび、県民に投げつけられる飴、ちっとも甘くない。