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夫婦別姓求め提訴へ 12人「認めぬ規定は違憲」


夫婦別姓求め提訴へ 12人「認めぬ規定は違憲」 夫婦別姓訴訟を巡る経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は個人の尊重などを定めた憲法に違反し無効だとして、北海道や東京都、長野県などに住む30~60代の事実婚の男女ら計12人が3月8日、別姓で婚姻できる地位の確認を求め、東京、札幌の両地裁に提訴することが21日、分かった。弁護団が明らかにした。原告数は東京地裁が10人、札幌地裁が2人。
 最高裁大法廷は2015年、民法の規定について「男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」として合憲と判断。同種訴訟は請求が退けられてきた。弁護団の寺原真希子団長は、社会情勢が変化し、学説には違憲説が多数あると指摘し「規定は違憲だと示してほしい」と話した。
 訴状で、現行法ではいずれかの姓を変えるか、婚姻自体を諦めるかの過酷な二者択一を迫られていると強調。経団連が今年1月、選択的夫婦別姓制度の導入を政府に求め、同月末時点で296の地方議会が導入を求める意見書を採択するなどしており、別姓を許さないことは不合理だと訴えている。
 弁護団によると、原告らは「慣れ親しんだ姓を変えたくない」「改姓に違和感がある」などとして別姓を希望している。
 15年の最高裁大法廷判決は、改姓した女性がアイデンティティーの喪失などの不利益を受けると認めたが「婚姻前の姓の通称使用が広まれば、姓の変更に伴う不利益が緩和される」とした。15人の裁判官中、5人は違憲と判断。うち3人の女性裁判官は、そもそも通称使用の広がりは、改姓すれば支障が生じることの証左だとし、別姓を認めないことに合理性はないと指摘した。22年3月には別訴訟で最高裁第3小法廷が原告側の上告を退ける決定をした一方、裁判官5人のうち2人は民法などの規定は違憲との意見を付けた。