<金口木舌>「アヒラートゥエー」を考える


社会
<金口木舌>「アヒラートゥエー」を考える
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 大相撲の土俵に女性は上がれない。相撲は神事を起源としていることや、力士らの神聖な戦いの場であることなどが理由とされる。そんな伝統も時代の変化と無関係ではない

▼女性政治家による土俵上での表彰状授与を断る日本相撲協会の姿勢が議論の的となった。京都府での巡業では土俵で倒れた要人を救助する女性看護師に土俵から下りるようアナウンスが流れた。批判を受け、日本相撲協会は謝罪した
▼土俵が「神聖」であることが女性を拒む理由になるのか。首をひねる人もいよう。大相撲に限らず、伝統を守るか、時代の要請に応えるかという問いは、さまざまな地域行事にも突き付けられる
▼糸満ハーレーの「アヒラートゥエー」(アヒル取り競争)が虐待に当たるという。動物愛護団体が県警に告発状を出し、県警はハーレー関係者を書類送検した。時代の大波に戸惑いが広がる
▼「伝統を守る」という熱意で行事を支えてきた人も「アヒルを守って」の声を無視はできない。議論が高まる中、守るべきことは何か、立ち止まって考えてもよい。