<金口木舌>もろさわようこさんの思い


<金口木舌>もろさわようこさんの思い
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 女性史研究家のもろさわようこさんは、那覇の市場で働く女性たちの顔のシワに美しさを感じた。その美しさは、女性の地位向上に尽くした市川房枝さんに通じるという

▼「市川房枝のシワにおとらない美しいシワの刻みこまれたマチグヮーのおばさんたち。そこに沖縄の女性史の原点がある」。こう語っていたもろさわさんの訃報が届いた。99歳、その歩みも一つの女性史と言えようか
▼市川さんが主宰する婦人問題研究所員となり、地方の女性史を掘り起こした。初めての来県は1972年。復帰直後の世替わりに直面し、心優しく生きる女性たちとの出会いから、沖縄を「心のふるさと」と定めた
▼もろさわさんにとって沖縄は、日本の女性問題が凝縮する地であった。そして、女性解放の先駆けとなる可能性を見い出した地でもある。歴史を切り開く新しい女性像を沖縄に描いたのだろう
▼きょうは国際女性デー。もろさわさんが残した「女の生き方が変われば社会が変わる。女の解放は男の解放でもある」という言葉の重さと可能性を考えている。